萩野&瀬戸 リオ予行ワンツー!“打倒ロクテ”で金銀もらう

男子400メートル個人メドレーで、同学年のダブルエースがし烈な争いを繰り広げた。同種目で4分7秒61の日本記録を持つ萩野公介(21=東洋大)が世界選手権覇者でリオデジャネイロ五輪が内定している瀬戸大也(21=JSS毛呂山)をデッドヒートの末に破って4分11秒38で優勝。五輪派遣標準記録も上回った。昨年6月の欧州GP以来、約7カ月ぶりとなった金メダル候補同士の競演は、7カ月後の金銀メダル独占を予感させた。

 スタートからゴールまで、両者は体一つ以上離れることなく、並ぶようにして水をかいた。最初の100メートルでわずかに瀬戸が出ると、150メートルのターンで萩野が逆転。200メートルを終えて体半分離れた瀬戸が得意の平泳ぎでかわしたが「バテバテだった」というライバルを、萩野が残り150メートルで再逆転。世界選手権金メダリストの追い上げを許さずゴールすると、会場は拍手に包まれた。

 両エースの対決は昨年6月以来、約7カ月ぶりだ。その数日後、萩野はフランス合宿中に自転車で転倒して右肘を骨折。瀬戸と交わした「世界選手権で一緒に表彰台に乗ろう」という約束を果たせなかった。ライバルが世界で戦う姿をテレビで見ることもできない時期を乗り越えて、復活を果たし「五輪代表権を獲得する第一歩を、こうして2人で一緒に泳げて喜びをかみしめている」と気持ちは前へ向いている。

 自己ベストには萩野が3秒77、瀬戸が4秒48、届かなかったが、収穫はあった。萩野は右肘の骨折後、腕が使えない時期に下半身を強化。課題だった平泳ぎで逆に得意とする瀬戸を逆転。「お尻が使える、前よりいい平泳ぎ」とうなずけば、瀬戸も昨年9月の両かかと手術を乗り越えて2泳目の背泳ぎを修正してきた中、200メートルまでで初めて2分を切り「やっと壁を突破できて凄く収穫のあるレース」と笑った。

 萩野は昨年のこの大会で4分12秒18を出し、約2カ月後の日本選手権で4分8秒54。五輪イヤーでさらに高いモチベーションを持つ今季はさらなる記録短縮にも期待が膨らむ。「(ロンドン五輪金メダルの)ロクテももう12秒台で泳いでいる。そういう選手に勝つにはいい泳ぎをしないと」と萩野が言えば、瀬戸は「ロクテが出てきたとしても公介と2人でぶっつぶしたい。そういう選手が出てきても、びびらないタイムを出して五輪で爆発したい」ときっぱり。日本記録保持者と世界選手権金メダリスト。日本が誇る2人の戦いはこの夏、歴史に変わる。 

 

 

萩野「一緒に泳ぐ喜びをかみしめ泳いだ」

萩野公介選手は「2人で一緒に泳ぐ喜びをかみしめながら泳いだ。記録はもうちょっとよいタイムがほしかった。最後の自由形でばてた」と話し、レース内容には満足していない様子でした。

瀬戸「前半200メートルで目標の2分を切れたことが収穫」

一方、瀬戸大也選手は萩野選手に敗れたものの、決勝で予選より8秒近くタイムを縮め、「調子が悪かったなか、前半200メートルで目標の2分を切れたことが収穫だった。オリンピックでは強い海外勢が出てきても萩野選手とぶっつぶしたい」と、本番での2人による金メダル争いを誓いました。

北島「自分の泳ぎできなかった」

北島康介選手は「泳ぎが詰まった感じだった。隣りを泳いだ小関選手などのプレッシャーがあって、自分の泳ぎがいまいちできなかった。目標の記録には届かなかったが、きちんと練習を積めてよい感覚もあるので、気持ちは前向きでいたい」と、自分に言い聞かせるように話していました。