糖尿病 歩いて予防 1日30分未満→リスク1.23倍

1日の歩行時間が30分未満の人は、2時間以上の人と比べて糖尿病になっているリスクが1・23倍、高いとの研究結果を国立がん研究センターが21日発表した。適度な運動が糖尿病予防になることは知られているが、運動の中でも実践しやすい歩行に注目して、日本人の糖尿病リスクとの関係を明らかにしたのは初めて。

 

 チームは1998〜2000年度、男女2万6488人を対象に糖尿病の有無を血液検査で調べ、自覚がないまま糖尿病を発症していた1058人について分析した。

 その結果、1日2時間以上歩く人に比べ、30分未満しか歩かない人は1・23倍糖尿病にかかっていた。30分以上2時間未満の人とは明確なリスクの差はなかった。

 厚生労働省生活習慣病予防のために、男性は1日平均で9200歩程度、女性は8300歩程度を目安に歩くよう呼びかけている。研究に当たった東海大医学部付属八王子病院の壁谷悠介講師は「自分の生活様式に合わせて無理のない運動を取り入れてほしい」と話している。

http://mainichi.jp/articles/20160122/ddm/012/040/122000c

 

糖尿病とは

糖尿病とは、インスリンというホルモンの低下によって高血糖が慢性的に続く病気のことです。糖尿病には1型糖尿病2型糖尿病があります。日本では、男性では約6人に1人、女性では約11人に1人が2型糖尿病にかかっている疑いがあります厚生労働省より)。

 

1型糖尿病

1型糖尿病インスリン依存型)は自己免疫疾患などが原因で発症します。インスリン分泌細胞が破壊されインスリンの産生が欠如してしまうため、発症すると継続的にインスリンの自己注射が必要となります。

 

2型糖尿病

2型糖尿病インスリン非依存型)は、遺伝的要因や過食・運動不足などの乱れた生活習慣など様々な要因が原因で発症します。発症初期の場合、生活習慣の改善等で軽快することもありますが、悪化するにつれ内服や、インスリン自己注射の治療が必要となります。しかし、日常から生活習慣に気をつければ予防できうる病気です。

 


糖尿病の初期症状

手を重ねる老人

では、糖尿病の初期症状を紹介します。

 

1.異常なのどの渇きと排尿

血糖が高くなると脳は脱水症状であると判断し、水を飲み血糖値を下げるように指令を出します。そのため、激しいのどの渇きを感じるようになります。

それに伴い頻尿、多尿、多飲をもたらします。また、尿中にタンパク質が多く含まれているため、尿に泡が立ちやすくなります。

 

2.食事をとったのに空腹感を感じる

正常の人であれば、経口摂取したブドウ糖は体内に取り込まれます。しかし糖尿病になるとブドウ糖は吸収されにくくなり、尿糖として摂取した栄養分が体外に出るため、カロリー不足になります。その結果、食事をとったにもかかわらず空腹感を感じるようになります。

 

3.食後数時間後にだるさや眠気を感じる

だるさや眠気は高血糖や低血糖の時に現れます。高血糖時のだるさは、インスリン不足で筋肉のエネルギー源であるブドウ糖が取り込めないことによるものです。

 

特に2型糖尿病の場合初期症状はしばしば無症状です。したがって、症状が見られた場合はすでにかなり進行した状態のこともあります。そのため、不安だと思う症状があればすぐに受診してください。

また、これらの症状がなかったとしても、健康診断の結果などで受診を勧められることがあります。その場合は、医師の指示にしたがってください。

 


なぜ糖尿病が危険なのか?

WARNING

スウェーデンで行われた32年間に及ぶ「生活習慣による死亡リスクの調査」によると、糖尿病にかかっている場合死亡のリスクが1.64倍になることがわかっています。これは、喫煙に次ぐ第2位であり、仮に喫煙もしていると死亡のリスクは3倍以上になります。糖尿病が危険な理由は、自覚症状がないまま重篤な合併症を併発する可能性が高いからです。その中でも最も主要な合併症が3つあり、3大合併症と呼ばれています。

 

<糖尿病神経障害>

最も早く発症する合併症が神経障害です。症状の現れ方は様々ですが、多く見られる症状の一つとして手足の先の痛みやしびれなどの末梢神経障害です。さらに症状が進行すると徐々に感覚が鈍くなっていき、足に怪我をしても気付かなくなります。その結果、細菌に感染し、最終的には細胞が壊死するため足を切断しなければならないこともあるのです。

その他、起立性低血圧や悪心・嘔吐、便秘、下痢といった胃腸障害、さらに勃起不全といった自律神経障害の症状も現れます。

 

<糖尿病網膜症

血糖値が高い状態が長く続くと網膜の血管が損傷し、視力が弱まります。悪化すると失明する場合もあります。また、白内障になることも多いといわれています。日本の成人の失明原因の第1位が糖尿病網膜症です。

 

<糖尿病腎症>

糖尿病腎症になると腎臓の毛細血管が損傷し、病態が進行すると尿を作れなくなります。このような状態になると人工透析を行わなければならなくなり、機械を使用して血液中の老廃物を排泄する必要があります。人工透析が必要になると週に2,3回は透析を行わなければならないため、日常生活に大きな影響を及ぼします。透析を行わなければ老廃物による毒素が全身にまわり、尿毒症症状が現れ死に至ります。現在、人工透析が必要になる原因の1位が糖尿病腎症です。

 

まずは食事を見直してみよう

世界保健機関(WHO)が2014年3月に1日の糖分摂取量を小さじ6杯程度(25g)とするガイドライン案を公開するなど、糖分摂取の制限を推奨しています。炭酸ジュース1缶には約40gの糖分が含まれており、1缶で1日の摂取量を超えてしまいます。糖分の取りすぎを抑制する試みは先進国を中心に広がっています。イギリスのリバプール大学のケープウェル教授は「砂糖は新たなタバコだ」といい、糖分の取りすぎに警鐘を鳴らしています。

 

その他、糖尿病を予防するための食事のポイントとしては以下のようなものが挙げられます。

  • 朝・昼・晩の食事はきちんと取りましょう。間食はできるだけ控えてください。
  • コーヒーや紅茶には、できれば砂糖は入れないようにしましょう。どうしても甘さがほしい場合、人工甘味料を使ってみてください。
  • お昼は、コンビニ弁当よりも手作りの弁当を持参するとよいでしょう。
  • 外食時は、洋食よりも和食を選ぶ機会を増やしてください。
  • 塩やバターを使いすぎないように心がけ、調味料・香辛料・ハーブ類をうまく活用しましょう。
  • 野菜・海藻・玄米・麦ごはん・きのこ類などから食物繊維を積極的に摂ってください。

 

まとめ

糖尿病の予防には、食生活の改善や定期的な運動などの正しい生活習慣が第一です。それに加え、少しでも異常を感じたら早めに検査を受けるように心がけましょう。