蜷川幸雄氏舞台、上演を延期 肺炎で退院できず

演出家蜷川幸雄氏(80)の半生を描いた舞台「蜷の綿」の上演が延期されることが21日、分かった。

 

 

 蜷川氏演出の「蜷川版」と、脚本を書いた藤田貴大氏(30)演出の「藤田版」が2月9日からさいたま市のさいたま芸術劇場で上演予定だった。蜷川版に代わって「リチャード二世」、藤田版に代わって「夜、さよなら」など3作品を上演する。

 蜷川氏は昨年12月中旬、今月7日初日の舞台「元禄港歌」の稽古中に体調を崩し、軽度の肺炎と診断されて入院。1月上旬から「蜷の綿」の稽古に入る予定だったが体力の回復が十分ではなく、蜷川版、藤田版ともに地方公演を含めて延期を決めた。仕切り直し公演の時期は未定。蜷川氏は「悔しい気持ちでいっぱいです。早く回復して劇場に戻ります」とコメントした。2月中に退院し、5月の舞台「尺には尺を」の演出で復帰する。

 

1935年生まれの蜷川幸雄と1985年生まれの藤田貴大、

50歳離れた2人が出会い、共鳴し、「蜷川幸雄」の物語を紡ぐ。
そして生まれる、2つの「蜷の綿」-。

 

1969年の演出家デビュー以来、演劇界の最前線で闘い続ける演出家・蜷川幸雄。数多くの演劇賞を受賞し、毎年のように海外公演を敢行する一方、「さいたまゴールド・シアター」や「さいたまネクスト・シアター」を率いて先鋭的な作品を発表、驚異的な質と量、そして振り幅を持った活動は他の追随を許しません。

 

他方、2007年に「マームとジプシー」を旗揚げし、12年に26歳で新人劇作家の登竜門・岸田國士戯曲賞を受賞した藤田貴大。13年には沖縄戦に動員された少女たちから着想を得た今日マチ子原作のコミック『cocoon』を舞台化し、観客や批評家から絶賛を浴び、一躍若手演劇人のトップへと躍り出ました。

 

ともに演劇界を牽引する、50歳離れた2人による奇跡のコラボレーション、その題材はまさかの「蜷川幸雄」。埼玉県川口市に生まれ、やがて“世界のニナガワ”と称される演出家・蜷川幸雄の半生を描いて行きます。どうぞご期待ください。

 


 

    公演インフォメーション

 

    公 演 名                          蜷の綿 -Nina's Cotton- 蜷川幸雄演出版)                         

 

    公 演 期 間                    2016年2月

   

    会 場                        彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアター(大ホール内)ほか

 

    作                          藤田貴大

   

    演 出                    蜷川幸雄

 

    主催・企画・制作         公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団

 


 

    公 演 名                          蜷の綿 -Nina's Cotton- (藤田貴大演出版)                         

 

    公 演 期 間                    2016年2月

   

    会 場                        彩の国さいたま芸術劇場 小ホール ほか

 

    作・演出                       藤田貴大

    

    主催・企画            公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団

 

    制 作                        公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団、マームとジプシー

 


 

 

藤田貴大  (ふじた・たかひろ)

 

1985年北海道生まれ。マームとジプシー主宰、演劇作家。桜美林大学文学部総合文化学科にて演劇を専攻。2007年マームとジプシーを旗揚げ。以降全作品の作・演出を担当し、演劇作品を発表。象徴するシーンのリフレインを別の角度から見せる映画的手法が特徴。11年6月〜8月にかけて発表した三連作「かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。」で第56回岸田國士戯曲賞を26歳で受賞。13年8月、沖縄戦に動員された少女たちより着想を得た今日マチ子の代表作である漫画「cocoon」を発表。様々な雑誌や新聞各紙に取り上げられ、演劇のみならず様々なジャンルの作家や批評家、観客にインパクトを与えた。14年、横浜市文化・芸術奨励賞を受賞。    

 

 


 

 

蜷川幸雄 (にながわ・ゆきお)

 

1935年埼玉県生まれ。69年『真情あふるる軽薄さ』で演出家デビュー。74年『ロミオとジュリエット』で大劇場の演出を手掛け、以後、日本を代表する演出家として話題作を次々と世に送り出している。83年『王女メディア』ヨーロッパ公演を皮切りに海外へ進出。各国で高い評価を得ている。2006年彩の国さいたま芸術劇場芸術監督に就任し、55歳以上を対象とした「さいたまゴールド・シアター」を創設。09年からは若手育成を目的とした「さいたまネクスト・シアター」の活動にも着手している。1998年から開始した「彩の国シェイクスピア・シリーズ」では、シェイクスピア全作品上演計画を敢行中。近作に『皆既食』『ハムレット』『リチャード二世』など。10年、文化勲章受章。